東灘区で相続した家を売る前に|購入時の契約書が1枚見つからないだけで、税額が979万円変わります

東灘区で相続した実家を売却する際、最初にお聞きするのが「お父さまが購入されたときの売買契約書は残っていますか」という質問です。
この1枚があるかないかで、税額が数百万円変わります。御影の戸建を6,600万円で売却した場合の試算では、差は979.2万円。土地だけの相続なら1,227.6万円、つまり本来ゼロだった税金をまるごと払うことになります。
そして東灘区は、この差が全国でもとくに大きく出るエリアです。理由はバブル期に高値で取得された物件が多いことと、いま売れる価格そのものが高いことの2つが重なるためです。
「取得費が分からない」と、売却価格の5%しか認められません
譲渡所得は売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)で計算します。この取得費が分からないとき、国税庁タックスアンサーNo.3258は「売った金額の5パーセント相当額を取得費とすることができます」としています。これを概算取得費と呼びます。
6,600万円で売るなら、取得費として認められるのは330万円だけ。実際には親が8,000万円で買っていたとしても、それを証明できなければ330万円で計算されます。
神戸市東灘区のご自宅が、いま実際にいくらで売れるか。この記事の取引データと、間取り・築年・接道などの条件を突き合わせて、具体的な金額でお出しします。
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株式会社Estate&Co.(不動産売却専門店)/宅地建物取引業免許 兵庫県知事(2)第12171号 会社概要
御影の戸建6,600万円で、いくら変わるか
前提:1990年に親が8,000万円(土地5,000万円・建物3,000万円/木造)で取得。相続後に賃貸へ出していたため空き家の3,000万円特別控除は使えず、ご自身も住んでいないため居住用の3,000万円控除も使えません。2026年に6,600万円で売却。所有期間36年(長期譲渡・税率20.315%)。
| — | 契約書がある(実額) | 契約書がない(概算5%) |
|---|---|---|
| 売却価格 | 6,600万円 | 6,600万円 |
| 取得費 | 5,150万円 土地5,000万円+償却後の建物150万円 |
330万円 6,600万円×5% |
| 譲渡費用 | 227.4万円 | 227.4万円 |
| 譲渡所得 | 1,222.6万円 | 6,042.6万円 |
| 税額(20.315%) | 約248.4万円 | 約1,227.6万円 |
| 差額 | 979.2万円 | |
建物3,000万円は36年で2,850万円が減価償却され(非事業用木造・償却率0.031、償却限度は取得価額の95%)、残り150万円だけが取得費に入ります。それでも土地5,000万円が丸ごと残るため、実額との差がここまで開きます。
土地だけを相続していた場合は、さらに深刻です
建物のない土地には減価償却がありません。1990年に8,000万円で取得した土地を6,600万円で売れば、1,627.4万円の譲渡損失で税額は0円です。
ところが契約書がなければ取得費は330万円とされ、約1,227.6万円が課税されます。損をして売ったのに1,200万円超を納める、という状態になります。
住吉の戸建5,000万円でも579万円
東灘区の戸建成約100件のうち中央値は5,000万円です。1988年に5,000万円(土地3,000万円・建物2,000万円)で取得した家を5,000万円で売却した場合──
| — | 実額 | 概算5% | 差 |
|---|---|---|---|
| 取得費 | 3,100万円 | 250万円 | — |
| 譲渡所得 | 1,725.4万円 | 4,575.4万円 | — |
| 税額 | 約350.5万円 | 約929.5万円 | 579.0万円 |
読みながら、今の価格だけ先に知る。
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当社が集計した東灘区の直近成約100件は、マンション77件・戸建23件。戸建の中央値は5,000万円、最高は8,200万円でした。駅別の70㎡換算では御影駅(阪急)約2,900万円、摂津本山駅約3,900万円と、市内でも高い水準にあります。
さらに成約100件のうち27件が1985年以前の築です。この年代の物件は、取得がバブル期(1988〜1991年)にかかっている可能性が高く、当時の取得価格が現在の売却価格を上回るケースが珍しくありません。
概算取得費との差は「実額取得費 − 売却価格の5%」に税率を掛けた額です。取得価格が高いほど、そして売却価格が高いほど、失う金額が増えます。東灘区はその両方が揃っています。
契約書が見つからないとき、探すべき資料
5%ルールはあくまで「取得費が分からないとき」の扱いです。実額を合理的に説明できれば、実額を使えます。売買契約書そのものがなくても、以下の資料が手がかりになります。
| 資料 | 入手先 | 分かること |
|---|---|---|
| 抵当権設定登記の債権額 | 法務局(閉鎖登記簿を含む) | 当時の借入額。頭金を加えれば取得価格の下限が推定できます |
| 金銭消費貸借契約書・返済予定表 | ご自宅の書類、または当時の金融機関 | 借入額と借入日 |
| 預金通帳・入出金明細 | 金融機関(保存期間にご注意ください) | 売主への支払い実績 |
| 分譲時のパンフレット・価格表 | ご自宅、分譲会社、図書館の郷土資料 | 同一物件・同一分譲の当時の価格 |
| 仲介した不動産会社の記録 | 当時の仲介会社 | 取引台帳(保存されている場合) |
| 建物の請負契約書・工事代金の領収書 | ご自宅、施工会社 | 建築費(注文住宅の場合) |
| 登記簿の「原因」欄 | 法務局 | 取得日と取得原因(売買・相続・贈与の別) |
ここは正直にお伝えします。これらの資料で必ず実額が認められるとは限りません。最終的には税務署の判断になります。
また、市街地価格指数などの統計から当時の価格を推計する方法については、認められた公表裁決事例(平成12年11月16日裁決/裁決事例集No.60)がある一方、否認された事例も報告されています。採用の可否は事案ごとに分かれますので、この手法に頼る場合は必ず事前に税理士へご相談ください(この点の確度は70%程度の理解として記載しています)。
いずれにしても抵当権設定登記の債権額は、法務局で誰でも取れる客観的な記録です。まずここから着手されることをお勧めします。閉鎖登記簿は保存期間が過ぎると取得できなくなりますので、早めにご確認ください。
やらないほうがよいケース
- 取得費が売却価格の5%を下回るとき——No.3258は「実際の取得費が売った金額の5パーセント相当額を下回る場合も、売った金額の5パーセント相当額を取得費とすることができます」としています。古い時代に安く取得した土地は、概算のほうが有利です。探す前に、どちらが大きくなるかを見積もってください
- 居住用の3,000万円控除で税額が0円になるとき——譲渡所得が3,000万円以下なら控除だけで完結します。資料探しの手間に見合いません
- あいまいな資料で実額を主張するとき——否認されれば結局5%に戻るうえ、申告のやり直しや加算税の負担が生じることがあります。根拠が弱いと感じたら、無理をしないという判断も必要です
よくある質問
Q. 購入時の契約書がありません。取得費はどうなりますか?
A. 国税庁タックスアンサーNo.3258により、売った金額の5%相当額を取得費とすることができます。6,600万円で売却すれば取得費は330万円です。ただしこれは「取得費が分からないとき」の扱いで、実額を合理的に説明できれば実額を使えます。抵当権設定登記の債権額、金銭消費貸借契約書、預金通帳、分譲時のパンフレットなどが手がかりになります。
Q. 契約書がないと、いくら損をしますか?
A. 東灘区・御影の戸建を6,600万円で売却する事例(1990年に8,000万円で取得)では、実額なら約248.4万円、概算5%なら約1,227.6万円で、差は979.2万円です。土地のみを相続していた場合は実額なら譲渡損失で税額0円のところ、概算では約1,227.6万円が課税されます。
Q. なぜ東灘区で差が大きくなるのですか?
A. 概算取得費との差は「実額取得費 − 売却価格の5%」に税率を掛けた額なので、取得価格と売却価格の両方が高いほど大きくなります。東灘区は戸建の成約中央値が5,000万円と高く、かつ成約100件のうち27件が1985年以前の築で、取得がバブル期にかかっている可能性が高いためです。
Q. 市街地価格指数で取得費を推計できますか?
A. 認められた公表裁決事例(平成12年11月16日裁決/裁決事例集No.60)がある一方、否認された事例も報告されています。事案ごとに判断が分かれますので、この手法に頼る場合は必ず事前に税理士へご相談ください。まずは抵当権設定登記の債権額など、法務局で取得できる客観的な記録から確認することをお勧めします。
Q. 探さないほうがよい場合はありますか?
A. あります。実際の取得費が売却価格の5%を下回る場合は、概算取得費のほうが有利です(No.3258はこの場合も5%を使えるとしています)。古くから安く保有している土地はこれに当たることがあります。また、居住用の3,000万円特別控除で税額が0円になる場合も、資料を探す実益はありません。
まとめ
- 契約書がないと取得費は売却価格の5%だけ——6,600万円なら330万円です
- 御影の戸建で差は979.2万円——土地のみの相続なら1,227.6万円、本来ゼロの税金を全額払うことになります
- 東灘区は差が大きく出るエリア——戸建中央値5,000万円、成約100件中27件が1985年以前築です
- まず抵当権設定登記を確認——法務局で取得できる客観的な記録です。閉鎖登記簿は保存期間にご注意ください
- 探さないほうがよいケースもあります——実額が5%を下回るとき、3,000万円控除で0円になるときです
東灘区の駅別・町丁別の相場は東灘区の不動産売却で公開しています。売却にかかる費用と税金の全体像は東灘区の不動産売却にかかる費用と税金をご覧ください。
査定は無料で、その後の売却をお約束いただく必要はありません。「契約書が見つからないが、どの資料を探せばよいか」というご相談だけでも構いません。
出典:成約データは国土交通省 不動産情報ライブラリ(https://www.reinfolib.mlit.go.jp/)に登録された不動産取引価格情報をもとに株式会社Estate&Co.が集計(東灘区・直近100件)。税制は国税庁タックスアンサーNo.3258(取得費が分からないとき)、No.3252(取得費となるもの)、No.3255(譲渡費用となるもの)。裁決事例は国税不服審判所 公表裁決事例(平12.11.16裁決、裁決事例集No.60・208頁)。掲載の税額はいずれも一定の前提を置いた試算で、取得価額および土地・建物の按分は仮定値です。減価償却は非事業用木造(償却率0.031、償却限度は取得価額の95%)として計算しています。実額取得費として認められる資料の範囲は事案ごとに判断されますので、最終的に税理士または所轄税務署にご確認ください。
この記事の数字の出典について(2026年9月21日 追記)
この記事の件数・価格は、国土交通省「不動産情報ライブラリ」の成約価格情報(宅地建物取引業者が登録した成約)と不動産取引価格情報(取引当事者へのアンケートに基づく実取引価格)を合わせて集計したものです。本文で「成約」と表記している箇所も、この2種類を合わせた取引を指します。
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