姫路市の低額土地に使える100万円控除|市の確認書は、買主が決まってからでないと出ません

姫路市で土地の売却をご相談いただくと、金額の桁が他のエリアとまったく違います。野里大和町の土地280㎡付き戸建が100万円。網干区の戸建が300万円。白国の戸建が390万円。成約事例54件のうち19件、約35%が800万円以下です。
この価格帯には、他ではまず使わない控除があります。低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除──通称「100万円控除」です。
そして重要なのは、この制度の期限が令和8年度税制改正で3年延長され、令和10年12月31日までになったこと。国税庁タックスアンサーの記載は執筆時点でまだ「令和7年12月31日まで」のままです。
この記事では、制度の要件と、実務でいちばんの関門である「市区町村長の確認書」の取り方を具体的に説明します。
制度の中身
使われている実感の乏しい土地を、次に使う人へ引き継ぐことを後押しする趣旨の特例です。長期譲渡所得から最大100万円を控除できます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 控除額 | 最大100万円(譲渡益が限度) |
| 対象 | 都市計画区域内にある一定の低未利用土地等 |
| 所有期間 | 売った年の1月1日で5年超 |
| 譲渡価額 | 500万円以下。ただし市街化区域、用途地域が定められている区域、所有者不明土地対策計画を作成した市町村の区域内は800万円以下 |
| 買主との関係 | 親子や夫婦など「特別な関係」でないこと |
| 譲渡後 | 利用が見込まれること |
| その他 | 前年・前々年に分筆した土地でこの特例を受けていないこと/他の譲渡所得の特例の適用を受けないこと |
| 適用期限 | 令和10年12月31日(令和8年度税制改正で3年延長) |
姫路市は市街化区域が広く、多くの物件で上限は800万円以下になります。ただし区域区分は物件ごとに違いますので、500万円と800万円のどちらの枠かは必ず確認してください。
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税額でいくら変わるか
前提:広畑区の戸建を500万円で売却。所有期間5年超、購入時の契約書はなく取得費は売却価格の5%。仲介手数料は800万円以下の特例により税込33万円、印紙税1,000円。
| 項目 | 控除なし | 100万円控除あり |
|---|---|---|
| 売却価格 | 500万円 | 500万円 |
| 取得費(概算5%) | 25万円 | 25万円 |
| 譲渡費用 | 33.1万円 | 33.1万円 |
| 譲渡所得 | 441.9万円 | 441.9万円 |
| 低未利用土地等の特別控除 | — | ▲100万円 |
| 課税譲渡所得 | 441.9万円 | 341.9万円 |
| 譲渡所得税・住民税 | 約89.8万円 | 約69.5万円 |
差は約20.3万円。控除額100万円に長期譲渡の税率20.315%を掛けた額で、これが上限です。500万円の取引で20万円は、手取りの4%にあたります。
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この特例でいちばん多い失敗が、書類を用意できずに申告時期を迎えることです。
確定申告書には「市区町村長の確認書類」を添付する必要があります。確認書には次の事項が記載されている必要があります。
- 土地の所在地の確認
- 低未利用土地等に該当すること
- 所有期間
- 譲渡前の利用状況
- 譲渡後の利用見込み
- 分筆の有無
注目していただきたいのが5番目です。「譲渡後にどう使われるか」まで市に確認してもらう必要があります。つまり買主が決まり、その買主が何に使うかがはっきりしてからでないと申請できません。
動く順番を間違えないでください
実務上の流れは次のようになります。
- 売り出す前——姫路市の担当窓口に「低未利用土地等の特例を使う可能性がある」と伝え、必要書類と様式を確認しておく
- 買主が決まったら——買主から譲渡後の利用予定を確認する(宅地として住宅を建てる、駐車場として使う、など)
- 売買契約後〜引渡し後——市に確認書を申請する
- 翌年2月16日〜3月15日——確定申告書に確認書を添付して提出
2番目でつまずくケースが目立ちます。買主が「とりあえず買っておく」という場合、譲渡後の利用見込みが立たず、確認書が出ないことがあります。買主の利用目的を、売買契約の段階で書面に残しておくと後が楽になります。
また、確認書の様式や申請先の窓口は自治体ごとに異なります。姫路市の窓口と必要書類は、必ず市に直接ご確認ください。
やらないほうがよいケース
メリットだけをお伝えするわけにはいきません。この特例には「他の譲渡所得の特例の適用を受けないこと」という要件があります。
| 状況 | 選ぶべき制度 | 控除額 |
|---|---|---|
| 自分が住んでいた家とその敷地 | 居住用財産の3,000万円特別控除 | 3,000万円 |
| 相続した空き家(昭和56年5月31日以前の建築など要件充足) | 被相続人の居住用財産の3,000万円特別控除 | 3,000万円 |
| 上記が使えない低額の土地 | 低未利用土地等の100万円控除 | 100万円 |
3,000万円控除が使えるなら、そちらのほうが圧倒的に有利です。低未利用土地等の控除は、それらが使えない場合の選択肢だとお考えください。
また、手続きの手間に対して効果が見合わないケースもあります。譲渡所得が100万円に満たない場合、控除額は譲渡益が限度ですので、効果は20.3万円より小さくなります。野里大和町の100万円のような取引では、譲渡所得そのものが61.95万円ほど(取得費5万円・譲渡費用33.05万円の場合)で、税効果は約12.6万円です。確認書の取得にかかる手間と比べて判断してください。
姫路市でこの制度が効く理由
姫路市の成約データを見ると、この価格帯の厚みがはっきりします。
| 成約事例 | 価格 | 枠 |
|---|---|---|
| 野里大和町・戸建(土地280㎡・1966年築) | 100万円 | 500万円枠でも可 |
| 花田町・戸建 | 210万円 | 500万円枠でも可 |
| 網干区・戸建 | 300万円 | 500万円枠でも可 |
| 白国・戸建 | 390万円 | 500万円枠でも可 |
| 広畑区・戸建 | 500万円 | 500万円枠の上限 |
| 書写・戸建 | 600万円 | 市街化区域等なら可 |
| 青山・戸建 | 780万円 | 市街化区域等なら可 |
姫路市の戸建は総額中央値が2,000万円から1,700万円へ約15%、土地1㎡あたりでは13.1万円から9.7万円へ約26%下がっています(ただし売れた物件の築年中央値が2006年から2000年へ6年古くなっているため、この下落幅すべてが実勢の下落ではありません)。成約件数は239件から371件へ約55%増えており、低額帯の流通そのものは活発です。
地区ごとの差は「姫路市の相場」という数字を信じてはいけない理由(姫路市)、土地が動かない場合の原因の切り分けは土地が売れないときに、見るべき6項目(姫路市)で扱っています。
令和10年12月31日まで、あと2回の確定申告
この特例は、もともと令和2年7月1日から令和7年12月31日までの譲渡が対象でした。国土交通省「令和8年度税制改正概要」では「現行の特例措置を3年間(令和8年1月1日〜令和10年12月31日)延長する」とされています。
なお、国税庁タックスアンサーの本記事執筆時点の記載は「令和7年12月31日まで」のままです。申告の際は最新のタックスアンサーおよび所轄税務署・税理士にご確認ください。
令和10年12月31日までの譲渡が対象ですので、実質的にはあと3回の年末があります。確認書の取得に時間がかかることを考えると、年末ぎりぎりの売買は避けたほうが無難です。
よくある質問
Q. 500万円の土地に使える控除があると聞きました
A. 低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除です。長期譲渡所得から最大100万円を控除でき、税額では長期譲渡20.315%で最大約20.3万円変わります。要件は、都市計画区域内にある一定の低未利用土地等であること、売った年の1月1日で所有期間が5年を超えること、譲渡価額が500万円以下(市街化区域、用途地域が定められている区域、所有者不明土地対策計画を作成した市町村の区域内では800万円以下)であること、売手と買手が特別な関係でないこと、譲渡後の利用が見込まれることなどです。
Q. 期限はいつまでですか?
A. 令和10年12月31日までの譲渡が対象です。国土交通省「令和8年度税制改正概要」に「現行の特例措置を3年間(令和8年1月1日〜令和10年12月31日)延長する」と記載されています。なお国税庁タックスアンサーの記載は本記事執筆時点で「令和7年12月31日まで」のままですので、申告の際は最新の情報をご確認ください。
Q. 何を用意すればいいですか?
A. 確定申告書に譲渡所得の内訳書と、市区町村長の確認書類を添付します。確認書には土地の所在地、低未利用土地等に該当すること、所有期間、譲渡前の利用状況、譲渡後の利用見込み、分筆の有無が記載されている必要があります。譲渡後の利用見込みまで含まれるため、買主が決まり利用目的がはっきりしてからでないと申請できません。売り出す段階で姫路市の担当窓口に相談し、必要書類と様式を確認しておくことをおすすめします。
Q. 3,000万円控除と両方使えますか?
A. 使えません。この特例には「他の譲渡所得の特例の適用を受けないこと」という要件があります。ご自身が住んでいた家とその敷地なら居住用財産の3,000万円特別控除、相続した空き家で要件を満たすなら被相続人の居住用財産の3,000万円特別控除のほうが圧倒的に有利です。低未利用土地等の控除は、それらが使えない場合の選択肢とお考えください。
Q. 100万円の土地でも意味がありますか?
A. 効果は小さくなります。控除額は譲渡益が限度ですので、譲渡所得が100万円に満たなければその額までしか控除されません。野里大和町の100万円の事例では、取得費5万円・譲渡費用33.05万円として譲渡所得は約61.95万円、税効果は約12.6万円です。確認書の取得にかかる手間と比べてご判断ください。
まとめ
- 低額の土地には専用の100万円控除があります——税額で最大約20.3万円
- 期限は令和10年12月31日——令和8年度税制改正で3年延長。国税庁のページはまだ未更新です
- 市区町村長の確認書が必要——譲渡後の利用見込みまで確認されるため、買主が決まってからの申請になります
- 売り出す段階で市に相談を——買主の利用目的を契約段階で書面に残しておくと後が楽です
- 3,000万円控除が使えるならそちらが優先——併用はできません
姫路市の相場データは姫路市の不動産売却のページで、駅別・地区別に公開しています。費用と税金の全体像は姫路市の不動産売却にかかる費用と税金をご覧ください。
査定は無料で、その後の売却をお約束いただく必要はありません。「うちの土地がこの控除の対象になるか」だけを確認したい、というご相談でも構いません。
出典:成約データは国土交通省 不動産情報ライブラリ(https://www.reinfolib.mlit.go.jp/)に登録された不動産取引価格情報をもとに株式会社Estate&Co.が集計。税制は国税庁タックスアンサーNo.3223・No.3226(低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除)・No.3302・No.3306、および令和8年度税制改正の大綱(令和7年12月26日閣議決定)・国土交通省「令和8年度税制改正概要」。仲介手数料の特例は令和6年7月1日施行の報酬告示改正による。低未利用土地等に該当するかどうかの判定、確認書の様式・申請窓口・手数料は市区町村が定めますので、姫路市にご確認ください。掲載の税額はいずれも一定の前提を置いた試算です。最終的な判断は税理士または所轄税務署にご確認ください。
この記事の数字の出典について(2026年9月21日 追記)
この記事の件数・価格は、国土交通省「不動産情報ライブラリ」の成約価格情報(宅地建物取引業者が登録した成約)と不動産取引価格情報(取引当事者へのアンケートに基づく実取引価格)を合わせて集計したものです。本文で「成約」と表記している箇所も、この2種類を合わせた取引を指します。
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