加古川市で100万円控除を使う順番|3,000万円控除が使えるなら、出番はありません

加古川市は、当社が集計した兵庫県内9市のなかで唯一、戸建が下がりマンションが上がった市です。戸建の総額中央値は2,100万円から2,000万円へ約4.8%、土地1㎡あたりでは13.8万円から13.1万円へ約5.1%の下落。成約件数は206件から248件へ約20%増えています。
供給が増えるなかで、価格が下がっている。この局面では、低額帯に落ちる物件が増えます。実際、加古川市の成約事例54件のうち17件(約3割)が800万円以下です。
この価格帯に使える低未利用土地等の100万円控除が、令和8年度税制改正で令和10年12月31日まで3年延長されました。ただし加古川市では、この控除より先に検討すべき制度があるケースが少なくありません。順番を整理します。
まず、どの制度が使えるかの優先順位
低未利用土地等の控除には「他の譲渡所得の特例の適用を受けないこと」という要件があります。つまり他の制度と併用できません。控除額の大きい順に検討するのが正解です。
| 優先 | 状況 | 使う制度 | 控除額 |
|---|---|---|---|
| 1 | 自分が住んでいた家とその敷地 | 居住用財産の3,000万円特別控除 | 3,000万円 |
| 2 | 相続した空き家(昭和56年5月31日以前の建築・区分所有建物でない・売却代金1億円以下など) | 被相続人の居住用財産の3,000万円特別控除 | 3,000万円 |
| 3 | 相続税を納め、相続開始からおよそ3年10か月以内に売却 | 相続財産を譲渡した場合の取得費加算 | 相続税額に応じる |
| 4 | 上記が使えない、都市計画区域内の低額な土地 | 低未利用土地等の100万円控除 | 100万円 |
1番と2番が使えるなら、100万円控除の出番はありません。3,000万円と100万円では桁が2つ違います。
加古川市で2番が消えるケース
ここで注意していただきたいのが、空き家特例(2番)の「相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていたことがないこと」という要件です。これは家屋についても敷地についても同じように定められています。
相続後に1度でも貸すと、2番が消えます。更地にして駐車場として貸した場合も、敷地を「貸付けの用」に供したことになり対象外です。そのときに残るのが、4番の100万円控除ということになります。
ただし3,000万円が100万円になるわけですから、埋め合わせにはなりません。貸すかどうかの判断は、この差を織り込んでください。詳しくは加古川市の不動産売却にかかる費用と税金で扱っています。
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100万円控除の要件と、加古川市での上限額
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 控除額 | 最大100万円(譲渡益が限度) |
| 対象 | 都市計画区域内にある一定の低未利用土地等 |
| 所有期間 | 売った年の1月1日で5年超 |
| 譲渡価額 | 500万円以下。市街化区域、用途地域が定められている区域、所有者不明土地対策計画を作成した市町村の区域内は800万円以下 |
| 買主との関係 | 親子や夫婦など「特別な関係」でないこと |
| 譲渡後 | 利用が見込まれること |
| その他 | 前年・前々年に分筆した土地でこの特例を受けていないこと/他の譲渡所得の特例の適用を受けないこと |
| 適用期限 | 令和10年12月31日(令和8年度税制改正で3年延長) |
加古川市は市街化区域が広く、多くの物件で上限は800万円以下になります。ただし区域区分は物件ごとに違いますので、500万円枠か800万円枠かは加古川市の窓口でご確認ください。
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前提:野口町の戸建を800万円で売却。所有期間5年超、購入時の契約書はなく取得費は売却価格の5%。仲介手数料は800万円以下の特例により税込33万円、印紙税5,000円。市街化区域内で800万円枠に該当。
| 項目 | 控除なし | 100万円控除あり |
|---|---|---|
| 売却価格 | 800万円 | 800万円 |
| 取得費(概算5%) | 40万円 | 40万円 |
| 譲渡費用 | 33.5万円 | 33.5万円 |
| 譲渡所得 | 726.5万円 | 726.5万円 |
| 低未利用土地等の特別控除 | — | ▲100万円 |
| 課税譲渡所得 | 726.5万円 | 626.5万円 |
| 譲渡所得税・住民税 | 約147.6万円 | 約127.3万円 |
差は約20.3万円です。控除額100万円に長期譲渡20.315%を掛けた額で、これが上限になります。
ここで目に留めていただきたいのは、控除の効果(20.3万円)より、取得費の証明のほうがはるかに大きいという点です。もし購入時の契約書が見つかり取得費が500万円と証明できれば、譲渡所得は266.5万円、税額は約54.1万円。概算5%との差は約93.4万円で、控除4本分以上にあたります。
順番としては、書類を探すことが先です。
市区町村長の確認書
確定申告書には市区町村長の確認書類を添付します。記載が必要なのは、土地の所在地、低未利用土地等に該当すること、所有期間、譲渡前の利用状況、譲渡後の利用見込み、分筆の有無です。
譲渡後の利用見込みが含まれるため、買主が決まり、利用目的がはっきりしてからでないと申請できません。実務の流れは次のとおりです。
- 売り出す前——加古川市の担当窓口に制度を使う可能性を伝え、必要書類と様式を確認しておく
- 買主が決まったら——買主の利用予定を確認し、売買契約書に残しておく
- 契約後〜引渡し後——市に確認書を申請する
- 翌年2月16日〜3月15日——確定申告書に添付して提出
確認書の様式や申請先の窓口は自治体ごとに異なります。加古川市の窓口と必要書類は、必ず市に直接ご確認ください。
加古川市でこの価格帯が生まれる理由
加古川市の低額帯は、特定の地区に集中しています。
| 成約事例 | 価格 |
|---|---|
| 尾上町・戸建(尾上の松徒歩15分・土地95㎡・戦前築) | 100万円 |
| 平岡町・マンション(土山徒歩17分・1979年築・75㎡) | 120万円 |
| 加古川町・戸建 | 270万円 |
| 野口町・マンション | 380万円 |
| 平岡町・戸建 | 450万円 |
| 尾上町・戸建 | 520万円 |
| 野口町・戸建 | 800万円 |
加古川市の中古マンションは㎡単価が13.2万円から14.3万円へ約8.3%上昇していますが(専有面積70㎡・築年1994年が両期間一致した上での実勢上昇)、土山駅圏の㎡単価は5.7万円と、当社が扱うエリアで最も低い水準です。70㎡換算で約400万円。
一方で戸建は下落しています。「マンションは上がり、戸建は下がる」という別々の動きが同じ市で同時に起きているのが加古川市の特徴で、この構造は加古川市のマンション売却相場【2026年最新】で扱っています。建て替えが進む町の実態は戸建95件の築年中央値が2014年。野口町で進む建て替えをご覧ください。
令和10年12月31日まで
この特例は、もともと令和2年7月1日から令和7年12月31日までの譲渡が対象でした。国土交通省「令和8年度税制改正概要」では「現行の特例措置を3年間(令和8年1月1日〜令和10年12月31日)延長する」とされています。
なお、国税庁タックスアンサーの本記事執筆時点の記載は「令和7年12月31日まで」のままです。申告の際は最新のタックスアンサーおよび所轄税務署・税理士にご確認ください。
よくある質問
Q. 加古川市の低額の土地に使える控除はありますか?
A. 低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除があり、長期譲渡所得から最大100万円を控除できます。税額では最大約20.3万円です。ただし他の譲渡所得の特例と併用できませんので、居住用財産の3,000万円特別控除や相続した空き家の3,000万円特別控除が使える場合はそちらが優先になります。控除額が30倍違いますので、順番を間違えないでください。
Q. 相続した空き家を貸してしまいました
A. 空き家の3,000万円特別控除は使えなくなります。「相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていたことがないこと」が要件で、これは家屋についても敷地についても同じです。更地にして駐車場として貸した場合も対象外になります。残る選択肢として低未利用土地等の100万円控除がありますが、3,000万円が100万円になるわけですから埋め合わせにはなりません。
Q. 控除より先にやるべきことはありますか?
A. 購入時の売買契約書を探すことです。野口町の戸建800万円の事例では、取得費が概算5%(40万円)だと税額は約147.6万円、控除を使っても約127.3万円です。ところが契約書が見つかり取得費500万円を証明できれば税額は約54.1万円になり、概算5%との差は約93.4万円。控除の効果20.3万円の4倍以上です。書類探しが先です。
Q. 何を用意すればいいですか?
A. 確定申告書に譲渡所得の内訳書と、市区町村長の確認書類を添付します。確認書には土地の所在地、低未利用土地等に該当すること、所有期間、譲渡前の利用状況、譲渡後の利用見込み、分筆の有無が記載されている必要があります。譲渡後の利用見込みまで含まれるため、買主が決まってからの申請になります。売り出す段階で加古川市の担当窓口に相談し、必要書類と様式を確認しておくことをおすすめします。
Q. 期限はいつまでですか?
A. 令和10年12月31日までの譲渡が対象です。国土交通省「令和8年度税制改正概要」に「現行の特例措置を3年間(令和8年1月1日〜令和10年12月31日)延長する」と記載されています。なお国税庁タックスアンサーの記載は本記事執筆時点で「令和7年12月31日まで」のままです。
まとめ
- 控除は使える順に検討する——3,000万円控除が使えるなら100万円控除の出番はありません。併用はできません
- 相続物件は貸さない——1度貸すと3,000万円が100万円に落ちます
- 書類探しが先——取得費の証明のほうが、控除より効果が大きいことがあります(野口町800万円の事例で約93.4万円対20.3万円)
- 確認書は買主が決まってから——売り出す段階で市に相談を
- 期限は令和10年12月31日——令和8年度税制改正で3年延長されました
加古川市の相場データは加古川市の不動産売却のページで、駅別・町丁別に公開しています。
査定は無料で、その後の売却をお約束いただく必要はありません。「どの控除が使えるのか、優先順位を整理したい」というご相談でも構いません。
出典:成約データは国土交通省 不動産情報ライブラリ(https://www.reinfolib.mlit.go.jp/)に登録された不動産取引価格情報をもとに株式会社Estate&Co.が集計。税制は国税庁タックスアンサーNo.3223・No.3226(低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除)・No.3258・No.3267・No.3302・No.3306、および令和8年度税制改正の大綱(令和7年12月26日閣議決定)・国土交通省「令和8年度税制改正概要」。仲介手数料の特例は令和6年7月1日施行の報酬告示改正による。低未利用土地等の該当判定・確認書の様式・申請窓口は加古川市にご確認ください。掲載の税額はいずれも一定の前提を置いた試算で、取得費は仮定値です。最終的な判断は税理士または所轄税務署にご確認ください。
この記事の数字の出典について(2026年9月21日 追記)
この記事の件数・価格は、国土交通省「不動産情報ライブラリ」の成約価格情報(宅地建物取引業者が登録した成約)と不動産取引価格情報(取引当事者へのアンケートに基づく実取引価格)を合わせて集計したものです。本文で「成約」と表記している箇所も、この2種類を合わせた取引を指します。
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