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人口が減る北区で、なぜ新築が2.5倍売れているのか

2026.08.21
神戸市北区の風景

神戸市北区について語られるとき、出てくる言葉はだいたい決まっています。人口減少、高齢化、バス便、傾斜地。実際、北区の人口は減り続けています。

ところが、戸建の成約データはそれとは違う形をしていました。国土交通省の成約価格情報から、2025年4月〜2026年3月に北区で成約した戸建(土地と建物)353件を当社で集計し、4年前の同じ期間(2021年4月〜2022年3月・243件)と比べたところ、成約件数は45.3%増。そして増えた110件のうち、新築の増加が54件を占めていました。

新築(取引時点で築1年以内)の成約は37件から91件へ、約2.5倍。区全体に占める割合も15.2%から25.8%へ上がっています。北区でいま、家が建ち、売れています。

ただし同時に、もうひとつの変化が起きています。売れている新築の土地面積の中央値が、185㎡から155㎡へ30㎡狭くなりました。

北区の戸建はいくらで売れていますか?

結論:直近1年に北区で成約した戸建353件の中央値は、総額2,400万円、土地面積180㎡、延床面積115㎡、建築年2003年、駅徒歩15分でした。4年前の2,300万円から+4.3%です。

北区の戸建の成約構成を4年前と直近1年で比較した2つの表。成約は243件から353件へ、新築は37件から91件へ増加
図解① 北区・戸建の成約構成(4年前と直近1年)。出典:国土交通省 不動産情報ライブラリ「成約価格情報」(https://www.reinfolib.mlit.go.jp/)をもとに株式会社Estate&Co.作成

価格そのものはほぼ横ばいです。動いたのは件数と、その中身でした。新築の総額の中央値は3,400万円、中古は2,100万円。差は1,300万円です。

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新築が2.5倍に増えたのは、北区に何が起きているからですか?

結論:当社が持つのは成約データであり、供給が増えた理由そのものは特定できません。ただし「売れた新築の土地が30㎡狭くなった」という事実は、その内実を示唆しています。

築2021年以降の物件の土地面積の中央値は、4年前が185㎡、直近1年が155㎡。北区の戸建全体の中央値は180㎡ですから、新築だけが区の標準より狭くなっていることになります。

広い土地を分けて2区画にすれば、1区画あたりの総額は下がり、より広い買主層に届きます。北区の新築の総額中央値3,400万円は、神戸市中心部の新築(東灘区5,550万円、兵庫区4,300万円)と比べて相当に低い水準です。予算を抑えて一戸建てを求める層にとって、北区は現実的な選択肢になっています。

ただし、これは推測です。分筆を直接追跡したデータではありません。確かなのは、新築の成約が2.5倍に増え、その土地が狭くなっているという2つの事実です。

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中古の戸建は、その影響を受けていますか?

結論:築1991〜2000年の層に、はっきり表れています。件数が68%増えながら、単価は5.8%下がりました。

北区の戸建の土地㎡単価の中央値を築年帯別に4年前と比較した表。築1991〜2000年は件数が44件から74件へ増えながら単価は5.8%下落
図解② 北区・戸建の土地㎡単価の中央値(築年帯別・4年前との比較)。出典:国土交通省 不動産情報ライブラリ「成約価格情報」(https://www.reinfolib.mlit.go.jp/)をもとに株式会社Estate&Co.作成

築1991〜2000年は、直近1年で74件が成約しています。中古では区内最大のボリュームです。この層の土地㎡単価は10.4万円から9.8万円へ▲5.8%。売れる数は増えているのに、単価は下がっています。

築2011〜2020年も17.3万円から16.0万円へ▲7.5%、築1981〜1990年も8.5万円から7.9万円へ▲7.1%。上がったのは新築(+14.0%)だけで、中古の主要な層はいずれも下がっています。

1980年以前築が+21.1%と大きく見えますが、水準そのものが4.6万円と低く、43件という規模です。この数字を「築古が値上がりしている」と読むことはできません。

北区の戸建は、町名でどれくらい違いますか?

結論:藤原台中町4,300万円に対して菖蒲が丘2,200万円。約2.0倍の差があります。

北区の戸建の成約総額の中央値を町名別に並べた横棒グラフ。藤原台中町4,300万円に対し菖蒲が丘2,200万円
図解③ 北区・戸建の成約総額の中央値(町名別・直近1年・成約5件以上)。出典:国土交通省 不動産情報ライブラリ「成約価格情報」(https://www.reinfolib.mlit.go.jp/)をもとに株式会社Estate&Co.作成

上位は藤原台中町4,300万円、山の街3,700万円、星和台3,500万円。件数の多い星和台21件、上津台16件がいずれも3,100〜3,500万円で、この帯が北区の実質的な中心価格です。

下位は京地2,300万円、菖蒲が丘2,200万円。北区は面積が広く、同じ区内でも鈴蘭台方面、有馬・岡場方面、道場・三田寄りで市場がまったく違います。区の中央値2,400万円をご自宅に当てはめる前に、町名で確認してください。

北区の戸建は、土地が広いのに、なぜ単価が低いのですか?

結論:北区は「土地が広く、単価が低い」市場です。神戸市内の他区と並べると、その位置がはっきりします。

神戸市内と西宮市の戸建の成約中央値を並べた表。北区は土地180㎡で土地㎡単価12.4万円、東灘区は88㎡で45.5万円
図解④ 神戸市内・西宮市の戸建の成約中央値(直近1年・当社集計)。出典:国土交通省 不動産情報ライブラリ「成約価格情報」(https://www.reinfolib.mlit.go.jp/)をもとに株式会社Estate&Co.作成

土地面積の中央値は、北区180㎡に対して東灘区88㎡。約2.0倍広い。一方、土地㎡単価は北区12.4万円に対して東灘区45.5万円で、北区は約27%の水準です。

この2つは同じことの裏表です。北区は土地の単価が低いからこそ、同じ予算で広い土地が買えます。総額で見れば北区2,400万円と東灘区4,750万円で約2倍差ですが、面積あたりでは3.7倍近い差がついています。

売主として押さえておくべきなのは、北区の戸建を㎡単価で他区と比べても意味がないということです。買主は「北区で広い家を探している人」であって、東灘区と迷っている人ではありません。訴求すべきは単価の割安さではなく、その広さで何ができるかです。

逆に言えば、北区の中で「土地が狭い」物件は、北区を選ぶ理由そのものを失います。155㎡まで縮んだ新築と、180㎡以上の中古が並んだとき、後者にしかない価値をどう見せるかが要点になります。

いま北区で中古の戸建を売るなら、何に気をつければいいですか?

結論:新築が競合として増えていることを前提に、価格の組み立てを変える必要があります。

  • ①同じ町名の新築売出価格を先に調べる。成約4件に1件が新築です。買主は必ず両方を見ています。中古の価格は、新築からの引き算で判断されます。
  • ②土地の広さを、弱みではなく強みとして出す。新築の土地は155㎡まで縮んでいます。180㎡、200㎡といった土地は、いまの新築では手に入りません。庭・駐車2台・将来の建て替え余地といった具体的な使い道に翻訳して伝えてください。
  • ③築25〜35年なら、時間が味方をしにくい。築1991〜2000年は件数が68%増え、単価は下がっています。同じ条件の売り物が増えているということです。
  • ④傾斜地・擁壁・調整区域の確認を先に済ませる。北区では、この確認が遅れると商談が止まります。売り出す前に整理しておくと、価格交渉の材料を渡さずに済みます。

当社は売主側だけの立場で売却をお手伝いする専門店です。買主を自社で抱えて両手仲介を狙う必要がないため、囲い込みをせず、他社の買主にも広く物件を開きます。

よくある質問

北区の戸建は値上がりしていますか?

総額の中央値は4年前の2,300万円から2,400万円へ+4.3%、土地㎡単価は11.9万円から12.4万円へ+4.2%です。ただし築年帯で分けると、上がったのは築2021年以降の新築(+14.0%)だけで、築2011〜2020年は▲7.5%、築1991〜2000年は▲5.8%、築1981〜1990年は▲7.1%と下がっています。

北区で新築が増えているというのは本当ですか?

直近1年に成約した戸建353件のうち、取引時点で築1年以内の新築は91件でした。4年前は243件中37件で、件数では約2.5倍、割合では15.2%から25.8%へ増えています。あわせて、売れた新築の土地面積の中央値は185㎡から155㎡へ狭くなっています。

築30年の戸建はいくらくらいで売れますか?

築1991〜2000年の土地㎡単価の中央値は9.8万円、総額の中央値は2,100万円です。直近1年に74件が成約しており、中古では区内で最も件数の多い層です。ただし4年前の10.4万円から5.8%下がっており、件数は44件から74件へ増えています。競合が増えている層だといえます。

北区で高い町名と安い町名はどこですか?

直近1年の成約総額の中央値では、藤原台中町4,300万円、山の街3,700万円、星和台3,500万円が上位。下位は京地2,300万円、菖蒲が丘2,200万円で、約2.0倍の差があります。北区は面積が広く、鈴蘭台方面・有馬岡場方面・道場方面で市場が分かれます。

査定はどのようなデータを使うのですか?

国土交通省の不動産情報ライブラリで公開されている成約価格情報をもとに、町名別・築年別・土地面積別に集計し、新築と中古を分けたうえで、ご自宅と条件の近い成約事例を抽出してご説明します。あわせて現地確認と、現在売出中の新築・中古の競合状況、傾斜地や擁壁の条件を踏まえて価格帯をご提示します。査定は無料で、その後の売却をお約束いただく必要はありません。

この記事で使ったデータの出典

  • 出典:国土交通省 不動産情報ライブラリ(https://www.reinfolib.mlit.go.jp/)「成約価格情報」(兵庫県神戸市北区/宅地(土地と建物)、2025年4月〜2026年3月の353件、2021年4月〜2022年3月の243件)をもとに株式会社Estate&Co.作成
  • 成約価格情報における「土地と建物」は戸建を指します
  • 「新築」は、取引年と建築年の差が1年以内の物件と定義して集計しています
  • 土地㎡単価は各成約の総額を土地面積で割って物件ごとに算出し、その中央値を用いています(建物の価値を含むため、純粋な地価ではありません)
  • 町名別は、成約が5件以上あった区分のみを掲載しています

※本記事で述べた「土地の細分化」は、築年帯別の土地面積の分布から読み取れる示唆であり、個々の土地の分筆を追跡したものではありません。※中央値は個別物件の査定額ではありません。※成約データは四半期ごとに更新されます。

私たちは神戸市中央区京町に本店を置く、兵庫県の不動産売却専門店です。北区のご自宅について、町名と土地条件をそろえた成約事例でご説明します。

この記事の数字の出典について(2026年9月21日 追記)

この記事の件数・価格は、国土交通省「不動産情報ライブラリ」の成約価格情報(宅地建物取引業者が登録した成約)と不動産取引価格情報(取引当事者へのアンケートに基づく実取引価格)を合わせて集計したものです。本文で「成約」と表記している箇所も、この2種類を合わせた取引を指します。


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