長田区の古い家、解体してから売りますか?そのまま売りますか?

「更地にしたほうが売れますよ、と言われました。100万円ちょっとで済むそうです」
神戸市長田区の築古の家について、こういうご相談をよくいただきます。空き家になって数年、屋根も傷んできた。解体して土地として売ったほうがきれいだ、というのは、感覚としてはよくわかる話です。
ただ、長田区のデータを見ると、その100万円は「すでに価格に織り込まれている」ように見えます。つまり、自分で払っても、買主に払ってもらっても、手取りはあまり変わらないかもしれない。順に説明します。
長田区の築古戸建は、いくらで売れているのか
直近1年、長田区の戸建(土地と建物)の成約は217件。建築年の帯で分けると、1980年以前が56件、中央値465万円でした。
1981〜2000年が82件で1,400万円、2001〜2010年が11件で2,000万円、2011年以降が50件で4,000万円。いちばん古い帯といちばん新しい帯で、8.6倍の開きがあります。
465万円という数字を見て、「そんなに安いのか」と思われたかもしれません。ここからが本題です。

神戸市長田区のご自宅が、いま実際にいくらで売れるか。この記事の取引データと、間取り・築年・接道などの条件を突き合わせて、具体的な金額でお出しします。
査定は無料です。その後の売却をお約束いただく必要はありません。
株式会社Estate&Co.(不動産売却専門店)/宅地建物取引業免許 兵庫県知事(2)第12171号 会社概要
「土地だけで計算するといくらか」を出してみます
長田区の更地(土地のみ)の成約は40件。1㎡あたりの単価の中央値は約7.55万円です。
いっぽう、長田区の戸建の土地面積の中央値は75㎡。この2つを掛けると、約566万円になります。
実際の築古戸建の成約中央値は465万円。差は約101万円です。
この101万円が、何に見えますか。
長田区の戸建の延床面積の中央値は90㎡——約27坪です。木造住宅の解体費は、一般に1坪あたり3〜5万円が目安とされます。27坪なら81万〜135万円。

ほぼ一致します。買主は、古家付きの土地を買うとき、自分が払う解体費をあらかじめ差し引いて値付けしている——そう読める数字です。
ここは慎重に言います。これは統計上の一致であって、因果関係が証明されたわけではありません。更地40件と築古戸建56件では、接道条件も形状もそろっていない。長田区は道路が狭い区画も多く、更地として売られる土地のほうが条件がよい可能性は十分あります。
それでも、実務の肌感覚とはよく合います。先に解体しても、その分だけ高く売れるとは限らない。むしろ、次に説明する理由で不利になることがあります。

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住宅が建っている土地には、固定資産税の住宅用地特例があります。200㎡までの部分は課税標準が6分の1、それを超える部分は3分の1。長田区の戸建の土地は中央値75㎡ですから、多くはまるごと6分の1の対象です。
建物を解体すると、この特例が外れます。判定は毎年1月1日時点。年内に解体すれば、翌年度から更地としての課税になります。
売れるまでの期間が読めないうちに解体すると、その期間ぶん、上がった税金を払い続けることになります。
ただし、逆の話もあります。2023年12月に施行された改正空家法により、「管理不全空家等」として勧告を受けた場合も、住宅用地特例が解除されるようになりました。これまでは、より状態の悪い「特定空家等」だけが対象でした。神戸市は、特例が解除されると土地の固定資産税が3倍程度に増える、と説明しています(出典:神戸市「空き家法の改正(2023年12月)」)。
つまり「建物を残しておけば税金は安いまま」という前提は、もう完全ではありません。放置している空き家をお持ちなら、この点は確認が必要です。
それでも解体したほうがよいケース
解体が正解になる場面も、はっきりあります。
- 建物が傾いている、屋根や外壁が崩れかけている——買主が中に入れないと、そもそも検討してもらえません。また、勧告を受けるリスクもあります
- 残置物が大量にあり、片づけに数十万円かかる——結局は費用がかかるなら、解体とまとめたほうが安く済むことがあります
- 隣地の方が買いたいと言っている——隣地の買主は土地としてしか見ていません。建物は邪魔なだけです
- 建て替えができる土地であることを示したい——ただし、これは解体しなくても、建築基準法上の接道要件を確認して図面で示せば足りることが多いです
大事なのは順序です。解体するかどうかは、「古家付きでいくら、更地でいくら」の両方の査定を取ってから決めてください。差額が解体費を上回らないなら、解体する理由はありません。
やってはいけないこと
ひとつめ。解体業者に先に発注する。着工してしまうと、もう戻れません。両方の査定を取るのは無料です。順序を逆にしないでください。
ふたつめ。長田区の解体費を、一般的な相場で見積もる。長田区には道路が狭く、重機が入らない区画があります。手壊しになると、費用は1.5倍から2倍に膨らむことがあります。必ず現地を見てもらった見積もりを取ってください。
みっつめ。「465万円」という中央値を、自分の家の価格だと思う。これは56件の真ん中の数字です。接道が広ければ上に、旗竿地や再建築不可なら下に、大きく動きます。自分の土地の条件を確認するのが先です。
まずやること
- 前面道路の幅員と、間口の広さを測る(建築基準法上、幅員4m以上の道路に2m以上接している必要があります)
- 建物の状態を写真に撮る(外壁、屋根、傾き)
- 「古家付き」と「更地」の両方で査定を依頼する
- 差額が解体費の見積もりを上回るかどうかで判断する
ご自宅がいくらで売れるか、調べてみませんか
ここまでの数字は、あくまで長田区全体の中央値です。同じ区のなかでも、接道条件・土地の形・再建築の可否で価格は大きく変わります。
株式会社Estate&Co.は神戸市中央区京町に本店を置く不動産売却専門店です。国土交通省の成約データと、各自治体の統計をもとに、お住まいの地域の実勢に沿った査定をご提供しています。古家付き・更地の両方での試算も承ります。
「いま売ったらいくらか」を知っておくだけでも、判断の材料になります。売却を決めていない段階でのご相談も承っています。
この記事の数字の出典について(2026年9月21日 追記)
この記事の件数・価格は、国土交通省「不動産情報ライブラリ」の成約価格情報(宅地建物取引業者が登録した成約)と不動産取引価格情報(取引当事者へのアンケートに基づく実取引価格)を合わせて集計したものです。本文で「成約」と表記している箇所も、この2種類を合わせた取引を指します。土地の形状・間口は成約価格情報には記録がないため、これらを扱った集計は不動産取引価格情報に基づきます。
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