宝塚市で相続した実家が売れないとき|連絡の取れない共有者がいると、10年間は動かせません

宝塚市で相続した実家の売却をご相談いただくとき、価格の話より先に確認することがあります。「相続人全員と連絡が取れますか」という点です。
共有名義の不動産を売るには、共有者全員の同意が要ります(民法251条1項)。1人でも所在が分からなければ、残りの全員が同意していても売却できません。
令和5年4月1日から、所在の分からない共有者の持分を裁判所の手続で処理する制度が使えるようになりました。ただし相続で共有になった不動産(遺産共有)については、相続開始から10年を経過した後でなければ使えません。つまり相続直後に連絡が取れなくなった場合、10年間は打つ手がほぼないということです。
売却は「変更」にあたるため、全員の同意が必要です
共有物に対してできることは、必要な同意の数で3つに分かれます。
| 行為 | 必要な同意 | 具体例 |
|---|---|---|
| 変更(軽微でないもの) | 共有者全員 民法251条1項 |
売却、建物の取壊し、大規模な増改築 |
| 管理(軽微変更を含む) | 持分の価格の過半数 民法251条1項・252条1項 |
形状・効用の著しい変更を伴わない修繕、短期の賃貸借(建物3年・土地5年・山林10年・動産6か月が上限) |
| 保存 | 単独でできます 民法252条5項 |
不法占拠者への明渡し請求、雨漏りの応急修理 |
令和5年4月1日施行の改正で、「形状又は効用の著しい変更を伴わない」軽微な変更は過半数でできるようになりました。共有者の1人と連絡が取れなくても、修繕や短期の賃貸は進められる場合があります。
しかし売却は変更にあたり、全員の同意が必要です。ここは改正後も変わっていません。
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株式会社Estate&Co.(不動産売却専門店)/宅地建物取引業免許 兵庫県知事(2)第12171号 会社概要
所在の分からない共有者がいるときの2つの制度
令和5年4月1日施行の改正で、次の2つが新設されました(いずれも不動産の所在地を管轄する地方裁判所に申し立てます)。
| — | 持分の取得(262条の2) | 譲渡権限の付与(262条の3) |
|---|---|---|
| 何ができるか | 不明な共有者の持分を、申立てをした共有者が取得します | 不動産全体を第三者に売る権限が与えられます |
| 公告・異議届出期間 | 3か月以上 | 3か月以上 |
| 供託 | 時価相当額を供託します | 時価相当額を持分に応じて按分した額を供託します |
| ほかの共有者の関与 | — | 不明な共有者以外の全員が持分全部を譲渡することが停止条件です |
| 行使期限 | — | 裁判の確定後原則2か月以内に譲渡(裁判所による伸長は可能) |
| 遺産共有の場合 | 相続開始から10年を経過した後でなければ使えません(262条の2第3項・262条の3第2項) | |
売却が目的なら262条の3を使いますが、相続で共有になっている段階では、相続開始から10年待たなければ申し立てられません。
供託金の負担も見ておいてください
宝塚市の戸建成約24件の中央値は3,550万円です。兄弟3人で各3分の1を相続し、1人の所在が分からない場合を想定します。
| 物件価格 | 1/3持分の時価 | 1/4持分の時価 | 仲介手数料(上限) |
|---|---|---|---|
| 3,550万円 宝塚市 戸建中央値 |
約1,183.3万円 | 約887.5万円 | 123.8万円 |
| 4,400万円 清荒神 戸建中央値 |
約1,466.7万円 | 約1,100.0万円 | 151.8万円 |
| 4,850万円 宝塚南口 戸建中央値 |
約1,616.7万円 | 約1,212.5万円 | 166.7万円 |
| 2,950万円 宝塚市 土地中央値 |
約983.3万円 | 約737.5万円 | 104.0万円 |
供託は売却代金を受け取る前に行います。3,550万円の物件で3分の1の持分なら、約1,183万円を先に用意することになります。ここに公告の3か月以上、裁判の確定までの期間、弁護士費用が加わります。
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当社が集計した宝塚市の直近成約62件は、マンション30件・戸建24件・土地8件。戸建の中央値は3,550万円、土地は2,950万円で、宝塚南口の戸建総額中央値は4,850万円(18件)、清荒神は4,400万円(20件)でした。62件のうち14件が1985年以前の築です。
この年代の物件は、所有者が高齢であるか、すでに相続が発生している可能性があります。相続人が3人・4人と増え、その中の1人が転居して連絡が途絶えるという形が、共有が動かなくなる典型です。
対策は制度ではなく、順番です。
- 相続が起きたら、まず遺産分割を終わらせる——共有のまま放置しないことが最大の予防策です
- 単独名義にできないか検討する——1人が取得して他の相続人に金銭で精算する(代償分割)、あるいは売却して代金を分ける(換価分割)という方法があります
- 連絡が取れない相続人がいるなら、早い段階で弁護士に相談する——戸籍の附票などから住所を追える段階であれば、10年を待つ必要はありません
- すでに共有になっている物件は、いま全員の連絡先を確認しておく——所在が分かるうちに意思を確認しておけば、あとで動けます
やらないほうがよいケース
- 共有者の1人が反対しているだけの場合——262条の2・262条の3は「所在等が不明」な共有者が対象です。所在が分かっていて反対しているだけなら使えません。この場合は共有物分割請求(民法258条)など別の手続になります
- 供託金を用意できない場合——売却代金を受け取る前に現金が必要です。資金の目処が立たないまま申し立てても進みません
- 持分だけを売る選択——ご自身の持分だけなら単独で売れますが、共有持分の買取価格は市場価格の持分相当額を大きく下回るのが通例です。3,550万円の3分の1が1,183万円で売れるわけではありません。急ぐ事情がないのであれば、慎重にご検討ください
よくある質問
Q. 共有名義の不動産を売るには、全員の同意が必要ですか?
A. 必要です。売却は共有物の「変更」にあたり、民法251条1項により共有者全員の同意が要ります。令和5年4月1日施行の改正で、形状・効用の著しい変更を伴わない軽微な変更は持分の価格の過半数でできるようになりましたが、売却は対象外です。
Q. 連絡が取れない共有者がいます。どうすればよいですか?
A. 民法262条の2(持分の取得)または262条の3(不動産全体の譲渡権限の付与)を、不動産所在地を管轄する地方裁判所に申し立てる方法があります。ただし相続で共有になっている場合は、相続開始から10年を経過した後でなければ使えません。まずは戸籍の附票などから所在を追えないかを確認し、弁護士にご相談ください。
Q. どれくらいの時間と費用がかかりますか?
A. 公告の異議届出期間だけで3か月以上かかり、そのうえで裁判の確定を待ちます。加えて時価相当額の供託が必要で、宝塚市の戸建中央値3,550万円・持分3分の1なら約1,183万円を売却代金の受領前に用意することになります。弁護士費用も別途かかります。
Q. 共有者が反対している場合にも使えますか?
A. 使えません。これらの制度は「所在等が不明」な共有者を対象とするものです。所在が分かっていて反対している場合は、共有物分割請求(民法258条)など別の手続を検討することになります。
Q. 自分の持分だけを売ることはできますか?
A. できます。持分の処分は各共有者が単独で行えます。ただし共有持分の買取価格は、市場価格に持分割合を掛けた金額を大きく下回るのが通例です。3,550万円の3分の1がそのまま1,183万円になるわけではありませんので、急ぐ事情がなければ、まず遺産分割の完了を優先されることをお勧めします。
まとめ
- 売却は全員同意——民法251条1項。1人でも所在不明なら売れません
- 修繕や短期賃貸は過半数でできます——令和5年4月1日施行の改正によるものです
- 遺産共有は相続開始から10年経過後まで、裁判所の制度を使えません——262条の2第3項・262条の3第2項
- 公告3か月以上+供託——宝塚の戸建中央値3,550万円・持分3分の1なら約1,183万円を先に用意します
- 最大の対策は、相続後すぐに遺産分割を終わらせること——共有のまま置かないことです
宝塚市の駅別・町丁別の相場は宝塚市の不動産売却で公開しています。売却にかかる費用と税金は宝塚市の不動産売却にかかる費用と税金をご覧ください。
査定は無料で、その後の売却をお約束いただく必要はありません。「共有のまま売れるのか」「まず何から手をつけるべきか」というご相談だけでも構いません。
出典:成約データは国土交通省 不動産情報ライブラリ(https://www.reinfolib.mlit.go.jp/)に登録された不動産取引価格情報をもとに株式会社Estate&Co.が集計(宝塚市・直近62件)。共有制度は民法第251条・第252条・第262条の2・第262条の3(令和3年法律第24号による改正、令和5年4月1日施行)、法務省「民法の改正(所有者不明土地等関係)の主な改正項目について」。仲介手数料は宅地建物取引業法第46条に基づく報酬告示の上限額(400万円超は売却価格×3%+6万円、別途消費税)。供託額として示した金額は物件価格に持分割合を掛けた参考値で、実際の供託額は裁判所が認定する時価に基づきます。個別の手続については必ず弁護士にご相談ください。
この記事の数字の出典について(2026年9月21日 追記)
この記事の件数・価格は、国土交通省「不動産情報ライブラリ」の成約価格情報(宅地建物取引業者が登録した成約)と不動産取引価格情報(取引当事者へのアンケートに基づく実取引価格)を合わせて集計したものです。本文で「成約」と表記している箇所も、この2種類を合わせた取引を指します。
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