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神戸市垂水区

垂水区の土砂災害警戒区域210箇所。売主が黙っていると免責特約が効かない理由

2026.09.18
神戸市垂水区の風景

垂水区には、土砂災害警戒区域が210箇所、そのうち土砂災害特別警戒区域が94箇所指定されています(兵庫県/令和8年6月30日現在)。

この数字を見て「うちは売れないのではないか」と感じられたなら、そこは切り分けが要ります。「重要事項説明の義務がある」ことと「売買が制限される」ことは、法律上まったく別の話です。同じ土砂災害でも、警戒区域と特別警戒区域では根拠条文の場所が違います。

垂水区の指定箇所数を種類ごとに並べたうえで、その線引きと、売主が黙っていた場合に何が起きるかまでを整理します。

垂水区の土砂災害警戒区域、種類別の指定箇所数

兵庫県が公表している令和8年6月30日現在の指定状況から、垂水区の分を抜き出しました。

土砂災害の種類 土砂災害警戒区域(イエロー) 土砂災害特別警戒区域(レッド)
急傾斜地の崩壊 195箇所 91箇所
土石流 13箇所 3箇所
地滑り 2箇所 0箇所
合計 210箇所 94箇所

兵庫県全体では警戒区域が21,553箇所、特別警戒区域が12,813箇所です。垂水区は県全体の1.0%にあたります。

ここで押さえていただきたいのは、警戒区域と特別警戒区域は、不動産取引での扱いが根本から違うという点です。

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「説明する義務がある」と「売れない」は、別の話です

宅地建物取引業法第35条第1項の柱書には、こう書かれています。「説明をさせなければならない」。それだけです。禁止する、制限する、許可を要する——そうした文言は、この条文のどこにもありません。

水害ハザードマップの説明義務は、2020年7月17日に公布され、2020年8月28日に施行されました。根拠は宅地建物取引業法施行規則第16条の4の3第3号の2です。条文はこうなっています。

水防法施行規則第十一条第一号の規定により当該宅地又は建物が所在する市町村の長が提供する図面に当該宅地又は建物の位置が表示されているときは、当該図面における当該宅地又は建物の所在地

読み取っていただきたいのは、説明の対象が「区域の内側にあること」ではなく「図面上のどの位置にあるか」だという点です。国土交通省が公表しているQ&Aでも、浸水想定区域の外にある物件でも、図面上の位置を示さなければならないと明示されています。つまりこの説明は、区域内の物件を選り分けるためのものではありません。取引されるすべての物件が同じように対象になります。

そしてもう一点。宅地建物取引業法第35条第1項第2号は「法令にもとづく制限」を説明する規定で、その中身は同法施行令第3条に一つずつ列挙されています。洪水浸水想定区域(水防法第14条)は、この第3条に列挙されていません。水防法から列挙されているのは第15条の8第1項、浸水被害軽減地区の届出だけです。

ですから、垂水区で「ハザードマップに載っているから法令上の制限がかかる」という説明を受けたなら、それは条文と食い違っています。制限と説明は、宅地建物取引業法のなかで別々の号に分かれて置かれています。

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説明だけで済むもの、法令上の制限がかかるもの

災害に関する区域指定は、不動産取引では2つの系統に分かれます。同じ「警戒区域」という言葉が付いていても、扱いが違います。

区域の種類 根拠条文 取引での扱い
土砂災害警戒区域(イエロー) 施行規則第16条の4の3第2号 説明のみ
水害ハザードマップ上の所在地 施行規則第16条の4の3第3号の2 説明のみ
津波災害警戒区域 施行規則第16条の4の3第3号 説明のみ
造成宅地防災区域 施行規則第16条の4の3第1号 説明のみ
土砂災害特別警戒区域(レッド) 法第35条第1項第2号+施行令第3条 法令にもとづく制限
宅地造成等工事規制区域 法第35条第1項第2号+施行令第3条 法令にもとづく制限
津波災害特別警戒区域 法第35条第1項第2号+施行令第3条 法令にもとづく制限
浸水被害防止区域 法第35条第1項第2号+施行令第3条 法令にもとづく制限

特別警戒区域が「制限」の側に入るのには、実体があります。土砂災害防止法第10条は、特別警戒区域内で住宅の分譲や社会福祉施設等を目的とした特定開発行為に都道府県知事の許可を要すると定めています。また建築基準法施行令第80条の3により、土砂の力に耐える構造としなければならないという構造規制がかかります。同法第17条では、著しい損壊のおそれがある建築物について移転等の勧告が行われることがあります。

言い換えれば、垂水区で警戒区域(イエロー)に入っているだけの土地は、建て方にも売り方にも法令上の制限を受けません。買主に説明する内容が一つ増える、それが法律の求めているすべてです。

なお垂水区には地滑りの警戒区域が2箇所ありますが、地滑りの特別警戒区域は兵庫県全体で0箇所です。地滑りは土地の動きが緩やかで、建築物の構造で耐えるという考え方になじまないためです。

売主が黙っていた場合、どこまで責任を負うか

ここが売主にとって最も重い部分です。条文の言葉を正確に押さえます。

民法第572条は、こう定めています。売主が担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、「知りながら告げなかった事実」については、その責任を免れることができない。

契約書に「契約不適合責任を負わない」と書いても、売主が知っていて言わなかったことには、その特約が効きません。過去に床上まで水が来た、擁壁にひびがある、大雨のたびに敷地に土砂が流れ込む——こうした事実をご存じであれば、告げたうえで売るのが唯一の安全策です。

もう一つ、期間についてよくある誤解があります。民法第566条は「買主がその不適合を知った時から一年以内にその旨を売主に通知しないときは」と定めています。押さえる点は3つです。

  1. 起算点は引渡日ではなく「買主が知った時」——引渡しから1年で自動的に消えるわけではありません
  2. 求められているのは「通知」であって権利行使ではない——買主は1年以内に通知さえすれば、その後に請求できます
  3. 対象は種類・品質の不適合のみ——数量や権利の不適合には、この1年の通知期間は適用されません

加えて宅地建物取引業法第40条は、宅地建物取引業者が自ら売主となる場合に、引渡しから2年以上とする特約を除いて民法第566条より買主に不利な特約を無効としています。ただしこれは業者が売主のときの規定です。個人の方が売主で、当社のような業者が媒介するだけの取引には適用されません。

なお、人の死の告知については国土交通省が令和3年10月8日にガイドラインを示しています。これは法令ではなく行政の解釈指針です。ガイドラインどおりに対応しても、民事上の責任が自動的に消えるわけではありません。また浸水歴や地盤沈下の告知について、これに相当する国のガイドラインは当社が調べた範囲では見当たりませんでした。「国が告知を義務づけている」と説明されたなら、根拠条文をお尋ねください。

垂水区のご自宅のリスクを、ご自身で調べる4つの手順

  1. 兵庫県の指定状況ページから地図を開く——兵庫県「土砂災害警戒区域等」に、市町別の指定状況の一覧と、境界を地番単位で表示する兵庫県CGハザードマップへの入口があります。イエローかレッドかは、ここで判別できます
  2. 重ねるハザードマップで水害を確認する——https://disaportal.gsi.go.jp/では、洪水・内水・高潮・津波・土砂を1枚の地図に重ねて表示できます。買主が最初に見るのもこの画面です
  3. 垂水区の窓口で図面の版を確認する——ハザードマップは更新されます。重要事項説明で使うのは契約時点の最新版です。数年前に見た図面と範囲が変わっていることは珍しくありません
  4. ご自身が知っている事実を書き出す——浸水、擁壁のひび、雨のときの水の流れ。民法第572条で責任を負うのは知っていて告げなかったことです。書き出して告げておけば、その特約は守ってくれます

調べた結果をお持ちいただければ、その条件で垂水区のいくらになるかを具体的な金額でお出しします。垂水区の町丁別・種別ごとの成約データは垂水区の不動産売却にまとめています。

よくある質問

垂水区に土砂災害警戒区域はどれくらいありますか?
兵庫県の令和8年6月30日現在の指定状況では、垂水区の土砂災害警戒区域は210箇所、土砂災害特別警戒区域は94箇所です。内訳は急傾斜地の崩壊が195箇所、土石流が13箇所、地滑りが2箇所(いずれも警戒区域)です。兵庫県全体の警戒区域21,553箇所に対して1.0%にあたります。

土砂災害警戒区域に入っていると売れなくなりますか?
警戒区域(イエロー)に売買を制限する規定はありません。宅地建物取引業法施行規則第16条の4の3第2号にもとづく「説明」の対象になるだけです。一方、特別警戒区域(レッド)は同法第35条第1項第2号と施行令第3条にもとづく「法令にもとづく制限」にあたり、土砂災害防止法第10条の特定開発行為の許可や、建築基準法施行令第80条の3の構造規制がかかります。

イエローかレッドか、どこで調べられますか?
兵庫県の「土砂災害警戒区域等」のページ(web.pref.hyogo.lg.jp)から兵庫県CGハザードマップを開くと、警戒区域と特別警戒区域の境界が地番単位で表示されます。洪水や高潮も含めて一度に見たい場合は、国土交通省の重ねるハザードマップ(https://disaportal.gsi.go.jp/)が便利です。どちらも無料です。

過去の土砂流入を買主に言わずに売るとどうなりますか?
民法第572条により、契約不適合責任を負わない旨の特約をしていても、売主が知りながら告げなかった事実については責任を免れられません。起算点についても、民法第566条の1年は引渡日からではなく買主がその不適合を知った時からです。ご存じの事実は告げたうえで売ることが唯一の安全策です。

まとめ

垂水区の土砂災害警戒区域は210箇所、特別警戒区域は94箇所。この2つは、宅地建物取引業法のなかで置かれている条文の場所から違います。イエローは説明だけ、レッドは法令にもとづく制限。ご自宅がどちらなのかは、兵庫県の指定状況ページから今日のうちに判別できます。そして民法第572条により、ご自身が知っている事実を告げずに売ると、免責特約があっても責任を免れられません。

当社は不動産売却の専門店です。区域の判定から、買主にどう説明して成約まで運ぶかの設計まで、そのままお引き受けします。まずは無料査定で、いまの実額をご確認ください。

出典

  • 兵庫県「令和8年6月30日現在の土砂災害警戒区域等の指定状況」(https://web.pref.hyogo.lg.jp/ks15/documents/0630shiteijoukyou.pdf)
  • 宅地建物取引業法第35条/同法施行令第3条/同法施行規則第16条の4の3
  • 宅地建物取引業法第40条
  • 民法第566条・第572条
  • 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律第10条・第17条
  • 建築基準法施行令第80条の3
  • 水防法第14条・第15条の8/水防法施行規則第11条第1号
  • 国土交通省「宅地建物取引業法施行規則の一部改正について」(令和2年7月17日公布・同年8月28日施行)
  • 国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」(令和3年10月8日)

本記事は一般的な情報提供です。個別の物件の区域該当や告知の要否は、契約時点の最新の図面と個別事情にもとづいて判断いたします。

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