垂水区で売却損の特例が使えない7つの理由|先に潰しておくべきチェックリスト

売却損の特例は、条件を満たせば数十万円から二百万円台が戻る制度です。ところが実務では、相談の半分近くが「使えません」で終わります。
垂水区は神戸市内でもっとも住み替えの多い区で、直近1年の戸建成約291件のうち3件に1件が新築。売って買う方が多いぶん、この特例を検討される機会も多くなります。だからこそ、先に「使えないケース」を潰しておくほうが早いのです。
この記事では、国土交通省の不動産情報ライブラリに登録された取引価格情報をもとに当社が集計した垂水区の成約データを使い、チェックリストの形で7項目を確認します。該当が1つでもあれば、その時点で対象外です。
まず、確認する前提を1つ
そもそも本当に損が出ているかを先に確かめてください。ここを取り違えると、以下の話がすべて無意味になります。
前提:塩屋町のマンション(塩屋徒歩11分・60㎡・1998年築)を1,300万円で売却。2008年に2,300万円(うち建物900万円)で購入、所有18年。
| 項目 | 契約書がある場合 | 契約書がない場合 |
|---|---|---|
| 売却価格 | 1,300万円 | 1,300万円 |
| 取得費 | 2,081.3万円 2,300−減価償却218.7 |
65万円 売却価格の5% |
| 譲渡費用 | 50.5万円 | 50.5万円 |
| 結果 | ▲831.8万円の損失 | 1,184.5万円の利益 |
| 税額 | 0円(+通算で還付) | 約240.6万円の課税 |
同じ取引が、書類の有無だけで「損失831.8万円」にも「利益1,184.5万円」にもなります。購入時の売買契約書・領収書・住宅ローンの契約書は、売却を考え始めた段階で探してください。
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株式会社Estate&Co.(不動産売却専門店)/宅地建物取引業免許 兵庫県知事(2)第12171号 会社概要
使えないケース──7項目のチェックリスト
1. 相続した住戸で、ご自身が住んでいない
この2つの特例はマイホーム(居住用財産)を売った場合の制度です。相続した住戸にご自身が住んでいなければ対象外になります。垂水区でいちばん多い「該当しない理由」がこれです。
親御さんが住んでいた家を相続して売る場合は、別の制度──空き家の3,000万円特別控除や相続財産を譲渡した場合の取得費加算──を検討することになります。
2. 所有期間が5年以下
売った年の1月1日で判定します。2021年に購入して2026年に売る場合、2026年1月1日時点では4年ですので対象外です。「もう5年住んだ」という体感とはずれますので、登記事項証明書で取得の日付を確認してください。
3. 住まなくなってから期間が経ちすぎた
以前住んでいた家の場合、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る必要があります。転勤などで空けたまま置いている場合、この期限が先に来ます。
4. ローン残ありパターンで、残高が売却価額以下
買換えを必要としない「ローン残ありパターン」は、売買契約日の前日に償還期間10年以上の住宅ローン残高があり、売却価額がその残高を下回ることが要件です。
垂水区の中央値クラス(戸建2,700万円)で、ローン残高が2,000万円なら差額が出ないため通算できません。完済している場合も同様に使えません。その場合は買換えパターンを検討することになります。
5. 買換えパターンで、買う物件が要件を外す
買換えパターンでは、買換資産について次の要件があります。
- 床面積50㎡以上(登記簿の床面積で判定)
- 償還期間10年以上の住宅ローン残高があること(現金購入は対象外)
- 売った年の前年1月1日から翌年12月31日までに取得
- 取得の日から翌年12月31日までに居住
- 一定のハザードエリア内に所在しないこと(令和8年度税制改正で追加。確度70%程度の理解として記載しています)
垂水区は塩屋・垂水・舞子・霞ケ丘・西舞子と海沿いに市街地が続きます。区内で住み替える場合、5番目の制限にご注意ください。
6. その年の合計所得金額が3,000万円を超える
繰越控除を受けられるのは、その年の合計所得金額が3,000万円以下の年に限られます。売った年の損益通算そのものには、この制限はありません。
7. 確定申告をしていない
制度は自動適用されません。そして繰越控除を受けようとする各年について、確定申告書を提出する必要があります。1年でも飛ばすとそこで繰越が途切れます(確度85%程度の理解として記載しています)。会社員の方が年末調整だけで済ませると使えません。
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7項目のいずれかに当たっても、次の2つは残ります。
- 損が出ているなら、譲渡所得税はかかりません——「戻らない」だけで「取られる」わけではありません。ただし1番目の書類確認は必須です
- 相続物件なら、別の制度——空き家の3,000万円特別控除(昭和56年5月31日以前の建築・区分所有建物でないこと・相続から3年目の年末まで・売却代金1億円以下)、または相続財産を譲渡した場合の取得費加算(相続開始からおよそ3年10か月以内・相続税を納めた方)。どちらも期限があります
費用と税金の全体像は垂水区の不動産売却にかかる費用と税金、親御さんの家の売却時期については親が施設に入りました。家はいつ売ればいいですか(垂水区)で扱っています。
期限は令和9年12月31日
この2つの特例は、もともと令和7年12月31日までの譲渡が対象でした。令和8年度税制改正の大綱(令和7年12月26日閣議決定)および国土交通省「令和8年度税制改正概要」で、「現行の特例措置を2年間(令和8年1月1日〜令和9年12月31日)延長する」とされています。
なお、国税庁タックスアンサーの本記事執筆時点の記載は「令和7年12月31日まで」のままです。申告の際は最新のタックスアンサーおよび所轄税務署・税理士にご確認ください。
よくある質問
Q. 売却損の特例が使えないと言われました。何を確認すればいいですか?
A. 7項目あります。①相続した住戸でご自身が住んでいない ②売った年の1月1日で所有期間5年以下 ③住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日を過ぎた ④ローン残ありパターンで残高が売却価額以下(完済含む) ⑤買換えパターンで買う物件が床面積50㎡未満・現金購入・取得や入居の期限超過・ハザードエリア内 ⑥その年の合計所得金額が3,000万円超(繰越控除について) ⑦確定申告をしていない。どれに当たったのかを確認すると、代替の制度が見つかることがあります。
Q. 損が出ているのに税金がかかると言われました
A. 購入時の売買契約書がないためだと思われます。取得費を証明できないと売却価格の5%しか認められず、実際には損をしていても計算上は利益が出ます。塩屋町のマンション1,300万円・2008年に2,300万円で購入という前提では、契約書があれば831.8万円の損失、なければ1,184.5万円の利益として約240.6万円の課税になります。権利証・売買契約書・当時の領収書・住宅ローンの契約書を探してください。
Q. 相続した家では本当に使えないのですか?
A. 譲渡損失の特例は使えません。マイホームを売った場合の制度で、ご自身が居住していたことが要件です。ただし相続物件には別の制度があります。空き家の3,000万円特別控除(昭和56年5月31日以前の建築、区分所有建物でないこと、相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで、売却代金1億円以下など)と、相続財産を譲渡した場合の取得費加算(相続開始からおよそ3年10か月以内、相続税を納めた方が対象)です。どちらも期限がありますので、早めにご確認ください。
Q. ローンを完済していると使えないのですか?
A. 買換えを必要としない「ローン残ありパターン」は使えません。売買契約日の前日に償還期間10年以上の住宅ローン残高があることが要件です。買い換える場合は「買換えパターン」が使えますが、新居に償還期間10年以上のローンを組む必要があり、現金購入では対象になりません。
Q. 期限はいつまでですか?
A. 令和9年12月31日までの譲渡が対象です。令和8年度税制改正で2年延長されました。加えて、以前住んでいた家の場合は「住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで」という期限も同時に走ります。空き家のまま置いている場合は、こちらのほうが先に来ることがあります。
まとめ
- まず購入時の契約書を探す——この事例では、有無だけで約240.6万円の差です
- 相続した住戸は対象外——垂水区でいちばん多い理由です。かわりに空き家特例か取得費加算を
- 所有期間は「売った年の1月1日」で判定——体感とずれます
- 完済していると、買い換えない限り使えません
- 繰越の各年も確定申告が必要——年末調整だけでは使えません
垂水区の相場データは垂水区の不動産売却のページで、駅別・町丁別に公開しています。マンションの買主層は成約287件を価格帯と間取りで読むで扱っています。
査定は無料で、その後の売却をお約束いただく必要はありません。「7項目のどれに当たるのか」を一緒に確認するだけのご相談でも構いません。
出典:成約データは国土交通省 不動産情報ライブラリ(https://www.reinfolib.mlit.go.jp/)に登録された不動産取引価格情報をもとに株式会社Estate&Co.が集計。税制は国税庁タックスアンサーNo.3258・No.3267・No.3306・No.3370・No.3390、および令和8年度税制改正の大綱(令和7年12月26日閣議決定)・国土交通省「令和8年度税制改正概要」。掲載の金額はいずれも一定の前提を置いた試算で、取得価額・建物と土地の按分は仮定値です。繰越控除の各年における申告要件およびハザードエリアの範囲については、最終的に税理士または所轄税務署にご確認ください。
この記事の数字の出典について(2026年9月21日 追記)
この記事の件数・価格は、国土交通省「不動産情報ライブラリ」の成約価格情報(宅地建物取引業者が登録した成約)と不動産取引価格情報(取引当事者へのアンケートに基づく実取引価格)を合わせて集計したものです。本文で「成約」と表記している箇所も、この2種類を合わせた取引を指します。
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