塩屋町で500万円台の家が消えた。2025年度に起きた入れ替わり

神戸市垂水区の塩屋町で、この4年間に売れた戸建の中央値を並べると、こうなります。
2022年度520万円、2023年度580万円、2024年度630万円。そして2025年度は2,000万円。
3.2倍です。しかしこれを「塩屋町の家が3.2倍に値上がりした」と読むと、判断を誤ります。
国土交通省の不動産情報ライブラリから、塩屋町で2025年4月〜2026年3月に成約した39件を当社で集計しました。数字の中身を見ていきます。
塩屋町では、いま何がいくらで売れていますか?
結論:直近1年の成約39件のうち、中古マンションが22件で中央値1,250万円、戸建が15件で2,000万円でした。

注目すべきは築年です。マンションが築1997年、戸建が築1998年で、ほぼ同じ。駅からの距離も9分と10分でほぼ同じ。それでも総額は1.6倍ひらきます。
差をつくっているのは土地です。戸建の土地面積は中央値120㎡。塩屋は山が海に迫る斜面地で、平坦な土地がまとまって取れる区画は限られます。だから土地を持つ戸建に値がつきます。
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株式会社Estate&Co.(不動産売却専門店)/宅地建物取引業免許 兵庫県知事(2)第12171号 会社概要
なぜ戸建の中央値が4年で3.2倍になったのですか?
結論:売れている家そのものが入れ替わったからです。値上がりではありません。

年度ごとに「その年に売れた家の築年」を見ると、答えが出ます。
2022年度は築1981年、2023年度は築1978年、2024年度は築1976年。築45〜50年の古家が中心でした。だから500〜600万円台です。
ところが2025年度に売れたのは築1998年。一気に20年ぶん新しくなっています。2,000万円という数字は、この入れ替わりの結果です。
同じ家を4年間持っていた人が、3.2倍で売れるようになったわけではありません。ここを取り違えると、査定額の期待値が大きくずれます。
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結論:件数は毎年22〜27件で安定しており、塩屋町のマンションは動きの読みやすい市場です。中央値は2022〜2024年度に1,600〜1,700万円で推移し、直近1年は1,250万円になりました。

ここでも、総額だけを見ると読み違えます。
2022〜2024年度に売れていたのは専有75㎡・築1999年。直近1年は専有68㎡・築1997年です。7㎡小さくなっています。1,700万円から1,250万円への下落幅のうち、相応の部分は面積の違いで説明がつきます。
戸建と違ってマンションは毎年20件以上動いており、5年間その水準が崩れていません。売り出したときに比較される事例が豊富にあるということです。裏を返せば、相場から外れた価格はすぐ見抜かれます。

塩屋町で売るとき、何が価格を決めますか?
結論:建物の築年よりも、土地に車が着けられるかどうかが効きます。
塩屋は、JR塩屋駅と山陽塩屋駅から山側へ急な坂が続く地形です。斜面に階段でしか上がれない区画と、車が横づけできる区画では、同じ広さでも買い手の数がまったく違います。
直近1年の戸建15件の土地面積中央値は120㎡。垂水区全体の戸建より広めです。それでも総額2,000万円にとどまるのは、この地形の制約が価格に織り込まれているからです。
一方、土地のみの成約2件は中央値3,600万円、面積305㎡、駅徒歩5分でした。件数が2件なので相場とは呼べませんが、平坦でまとまった土地には別の値段がつくことを示しています。
売主にとって、この数字は何を意味しますか?
3つあります。
1つめ。築40年を超えた家をお持ちなら、過去3年の500〜600万円台という実績が近隣事例として残っています。買主側の不動産会社は、この事例を根拠に指値を入れてきます。「近所は600万円で売れている」という交渉に備えて、自分の家が何が違うのか(土地の形、接道、車の駐車可否、リフォーム履歴)を先に整理しておくべきです。
2つめ。築25年前後の家をお持ちなら、いまは追い風です。2025年度の成約は築1998年が中心で2,000万円。同じ築年帯の実勢が積み上がっている時期です。
3つめ。マンションと戸建で買い手層が違います。マンション1,250万円・68㎡という水準は、単身または夫婦二人の実需と、賃貸に回す投資家の両方が見る価格帯です。戸建2,000万円・土地120㎡はファミリー層です。売り出し先が違うので、広告の出し方も変わります。
やらないほうがよいこと:「塩屋の戸建は4年で3.2倍」という記事の見出しだけを根拠に売り出し価格を決めることです。中身は築年の入れ替わりであって、相場の上昇ではありません。
まとめ
- 塩屋町の直近1年の成約は39件。マンション1,250万円(22件)、戸建2,000万円(15件)
- 築年はほぼ同じでも、マンションと戸建で1.6倍ひらく
- 戸建の中央値は2024年度630万円→2025年度2,000万円で3.2倍だが、築年が1976年→1998年へ入れ替わった結果
- 塩屋は斜面地。車が着けられるかどうかが価格に強く効く
株式会社Estate&Co.は神戸市中央区京町に本店を置く不動産売却専門店です。塩屋町の売却について、地形と接道条件を踏まえた査定をご提供しています。
この記事の数字の出典について(2026年9月21日 追記)
この記事の件数・価格は、国土交通省「不動産情報ライブラリ」の成約価格情報(宅地建物取引業者が登録した成約)と不動産取引価格情報(取引当事者へのアンケートに基づく実取引価格)を合わせて集計したものです。本文で「成約」と表記している箇所も、この2種類を合わせた取引を指します。
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